令和3年度助成先「特定非営利活動法人こども∞感ぱにー」
- 2022年07月25日
1.事業名
不登校児のための居場所づくりと、子どもの主体性を育む体験事業
2.事業の目的とその背景
【背景】
震災により増加の一途をたどる石巻市の不登校数の背景には、保護者の精神的不安定からの虐待、転居による生活環境の変化等がある。
フリースクールに登録する保護者は、経済的負担(学校に通学していればかからない利用料の支払い)が大きく、生活困窮家庭も少なくない。そのため、修学旅行や体験学習に代わる経験をさせることが困難な状況である。
【目的】
①不登校児童生徒の居場所づくりと社会への自立サポート
②修学旅行に代わる宿泊を伴う体験学習を子どもが企画し、主体的に自然観察やスポーツを実施。健全な育成を図る。
③不登校児童生徒の座談会実施。これらを関係機関に届け、不登校理解を深める。
3.事業の内容
(1)フリースクールの児童生徒の修学旅行に代わる宿泊学習と自然体験プログラム
概要:生活困窮やフリースクール利用料の出費により、保護者負担が増え、本来学校に通っていれば体験できる修学旅行や課外授業に代わる合宿を実施。
場所:蔵王町、たびの民泊
内容:①子ども主体で、場所、スケジュール、役などを決定
②合宿中のプログラム進行や食事作りも子どもが実施
③大崎のフリースクールと交流
(2)不登校居場所事業
概要:学校復帰を目的としない子どもの居場所づくり。虐待や周囲の不登校無理解に苦しむ子どもに寄り添い、心の安定を図り、社会的自立のサポートを行う。
内容:子どもの心のケア、スポーツや工作、学習サポート他
4.事業実施にあたっての工夫点とその効果
(1)フリースクールの児童生徒の修学旅行に代わる宿泊学習と自然体験プログラム
●子ども会議を実施し、一人一人が自分の意見を話すことで、場所やスケジュール等も子どもが主体的に決めることができました。
●食事作りなど生活をともにすることで、互いを思いやる気持ちや仲間との協調性が生まれました。また、大崎のフリースクールと交流し、不登校児同士が繋がることができました。
(2)不登校居場所事業
●新たに9名の不登校児が登録。5名の子どもが自分の選択で社会的自立の一歩を踏み出しました。
●登録直後は表情が暗く言葉数が少ない子たちが、フリースクールで心の休息を取り、次第に心が和らぎ、安心して過ごせる居場所となりました。
5.全体的所感、終了しての感想など
●フリースクールの活動は室内にこもりがちになってしまいますが、今回の合宿のような「外に出る経験」は、普段とは違う子どもの動きが合ったり、外部や地域の大人との関わりが増えたりと、子どもが「自分らしさ」を出せる貴重な機会になったと感じました。
●学校に復学した子から「学校で何かあってもフリースクールがあるから安心できる」という言葉を聞きました。石巻市の不登校児を受け入れる施設が、いまだに2件のみという背景と合わせて、本来の活動を継続していく必要性を改めて実感しました。